耳道の中で起きる炎症です。症状は頭を振る、足で耳を掻く、耳道の発赤、耳垢の増加、悪臭などです。
外耳炎になると細菌や真菌(マラセチア)の異常繁殖がみられることが多いですが、これらは常在菌であることがほとんどです。なんらかの要因により耳道内環境が悪化し、常在菌の繁殖を伴う外耳炎が生じます。例外としてはミミダニが原因となっている場合で、これは感染性の疾患ということになります。
外耳炎(ミミダニ以外)を誘発する要因としては、垂れ耳や耳毛などによる通気性の悪さ、アレルギー性皮膚炎、脂漏症、異物、耳道内腫瘍などが挙げられます。耳の中は皮膚の一部のようなものなので、皮膚病になりやすい犬は外耳炎にもなりやすい傾向があります。
治療については、当院では洗浄と点耳薬の投与を行っています。重度の場合は内服薬も使用しています。一旦改善した後は定期的な洗浄により耳道内環境の悪化を防ぐことが重要となりますが、再発例も多いです。アレルギー性皮膚炎などが原因の場合はそれに対する治療を行うこともあります。
外耳炎の状態が続いていると耳道壁が硬くなって肥厚したり塞がったりすることがあります。そうなると洗浄も困難となり、手術が必要となる場合もあります。また中耳炎に進行していく場合もあります。あまり放置せずに早めの対処をしていくことが重要です。
家で洗浄を行う場合は綿棒などでやりすぎると耳道が傷付くため、洗浄液を入れてマッサージしたり拭き取ったりという程度が望ましいです。耳の中に毛が生えやすい犬では動物病院やトリミングなどで定期的に抜いていったほうがいいでしょう。
外耳炎は日常的によくみられる疾患です。耳を痒がっていたり、耳の中が赤かったり、汚れがあったりする場合は早めに動物病院に御相談ください。