口の中が赤く腫れたり潰瘍ができたりする疾患です。症状は口臭、ヨダレ、食べる時の痛みなどで、ひどくなると痛くて全く食べられなくなります。
猫が口内炎になる原因ははっきりとわかっていません。歯石や歯周病があると発症しやすくなりますが、必ずしもそれが原因というわけではなく、歯が汚れていなくても粘膜が赤く腫れて痛みが生じることがあります。エイズ、白血病、カリシなどのウイルスに感染していると発症しやすいようですが、ウイルスがいなくても発症することはあります。
治療としては、まず歯石除去や歯周炎治療を行うことが望ましいです。しかしそれだけでは痛みが改善しないこともあり、そのような場合は更なる治療が必要となります。
一般的に抗菌剤、消炎鎮痛剤、インターフェロン、ステロイド剤などが使われますが、最も効果が大きいのはステロイド剤です。ただ、根本的に治るわけではないので薬がきれてくると痛みが再燃します。また、だんだん効かなくなってきて投与量や回数を増やす必要が出てくるため、糖尿病などの副作用も考えなければいけません。
他に有効な治療法として、全てあるいはほぼ全ての歯を抜歯するという方法があります。歯を全て抜くのはかなりの負担がかかりますが、現状で最も効果が期待できる治療法であると考えられています。しかしながら、これでも確実に治るというわけではありません。完治する場合や、完治しないもののステロイドの量を減らせる場合は多いです。歯が全く無くなること自体については問題はなく、ドライフードでも食べられるようになることがあります。問題点としては確実に治るわけではないということと、全身麻酔や侵襲性の高い処置に関するリスクがあるということです。腎臓病その他の理由で麻酔がかけられなかったり、栄養状態が悪かったりする場合は実施できません。
猫の口内炎は治療が非常に困難です。ステロイドや抜歯処置が必要となることが多いですが、それぞれの治療法にメリットとデメリットがありますので、それらを考慮して治療法を選択していただければと思います。