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犬の前立腺疾患

 前立腺は雄の生殖腺であり、膀胱の後ろにあります。一般的に加齢とともに肥大していきます。

 肥大した前立腺が尿道や直腸を圧迫すると、排尿や排便がしづらくなることがあります。また肥大した前立腺には細菌が入り込みやすいため、炎症が起きたり、悪化して膿がたまったりすることもあります。前立腺の炎症では血尿、排尿障害などの泌尿器症状がみられますが、重度の場合は元気消失や嘔吐などの激しい症状がみられることもあります。

 前立腺は男性ホルモンの影響により肥大します。そのため、男性ホルモン阻害薬の投与または去勢手術により縮小します。若いうちに去勢をしておくと、歳をとってからも前立腺疾患を発症することはほとんどありません。未去勢犬が前立腺疾患を発症した場合、去勢手術をして治まることもありますし、膿が貯留している場合などはそれだけでは治まらないこともあります。ホルモン阻害薬については、1週間の投薬により半年程度効果が持続しますが、肝障害の副作用が出ることがあります。

 前立腺炎と膀胱炎は症状が似ていますが、未去勢犬で膀胱炎症状を繰り返す場合は前立腺が関与していることが多いため、去勢を考慮したほうがよいと考えられます。

 前立腺疾患の例外として前立腺癌というものもあります。これは去勢をしても予防できませんし、残念ながら治すことはほぼ不可能です。治療としては主に排尿、排便、疼痛の管理をしていくことになります。

 猫の前立腺疾患は非常に稀です。考えなくてよいと思われます。

 まとめますと、前立腺疾患は中年齢以降の未去勢犬において発症リスクが高く、発症すると治療が困難な場合もあります。予防のためには去勢手術が重要となりますので、御検討ください。

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