異物(マットの切れ端)を誤飲してから吐き続けているという猫が来院されました。
超音波検査にて、小腸内の異物およびそれによる閉塞が確認できました。
この時点で手術に踏み切ってもいいのですが、念のためにバリウム検査も行うことにしました。
バリウム検査では、2時間半の時点で小腸内での閉塞が確認できました。
ただ、まだ時間がありましたので、また念のためにさらに3時間後にもう一度撮影してみました。
するとバリウムが異物と共に大腸まで流れていました。
大腸まで流れればあとは便に出てきますので、手術は中止としました。帰宅後、無事に出たそうです。
ということで、運良く手術を回避しました。数時間の間に異物が動いたということになります。バリウムを飲んだ影響もあるかもしれません。
ただ、今回のように一度閉塞した異物が都合良く流れることは稀です。期待して待っていると腸が破れる可能性がありますので、閉塞がわかったらすぐに手術するのが原則となります。
今回は当日の夜に手術する予定でしたが、その微妙な待ち時間が結果的によかったということでしょう。バリウム検査は行わなくても診断は可能でしたが、これも結果的にやってよかったということになるのでしょう。
ちなみに、手術中止というのは少し勇気がいります。翌日が休診日だったりすると尚更です。便に出ていないから念のために手術する、一度手術すると決めたのだから手術する、という獣医師もいるかもしれませんので、気を付けていただくのがいいかと思います。