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症例紹介
2016/08/30
症例:猫の乳腺腫瘍

 18歳の雌猫です。乳腺に腫瘤が発生し、自壊して膿が出ている状態で来院されました。

 乳腺の腫瘤は1ヶ所でしたが鼠径リンパ節への転移が疑われ、手術をしても予後が悪いのではないかと考えられました。また、血液検査で腎機能の低下も認められました。よって手術は全面的には勧められない状況でしたが、飼い主さんが腫瘤の自壊をなんとかしたいと希望されたため、手術を行うことにしました。

 手術では、通常は片側の乳腺を全て切除するのですが、今回は後ろ半分と鼠径リンパ節だけを切除しました。腎機能低下があり、また、根治を目的とした手術でもなかったため、時間短縮を優先しました。

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 病理検査では、乳腺癌および鼠径リンパ節への転移との診断でした。

 その後は癌に対する追加治療はせず、慢性腎臓病の治療だけを継続しています。そしてすでに1年10ヶ月経過しました。手術前の状況からして半年以上生きられれば成功と言えるだろうと思いますが、それを遥かに越えています。

 このような場合は諦めずに治療して本当によかったなと思います。もちろんいつもうまくいくとは限らず、残念ながら遠隔転移して半年以内に亡くなってしまう例もあるのですが、治療にかけてみる価値はあるということなのでしょう。

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