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猫白血病ウイルス感染症

 猫白血病ウイルスは免疫不全や腫瘍などを引き起こすウイルスです。ウイルス陽性の母猫から、あるいは陽性猫とけんかをしたり食器を共有したりすることによって感染します。人や犬に移ることはありません。

 このウイルスに感染すると、初期段階で治るか、持続感染に進行するか、どちらかの経過を辿ります。初期段階で治ればその後の心配はありませんが、持続感染の状態になってしまうとその後治ることはありません。ほとんどが数年以内になんらかの病気を発症して亡くなってしまいます。

 持続感染に進行するかどうかは初期感染時の年齢によるところが大きいことがわかっています。生後間もないうちに感染した場合はほとんどが持続感染に進行しますが、成猫になってから感染した場合は免疫がウイルスに勝って治ることが多いようです。ただし成猫でも持続感染に進行する場合もあります。

 ウイルスがいるかどうかは血液検査でわかりますが、潜伏期があるため、感染してから4週間程度経たないと検出できません。幼齢猫で結果が陽性だった場合、一過性の感染の最中でその後陰性となる可能性もあります。数ヶ月経っても陽性のままであれば、持続感染になっていると考えられます。

 猫白血病ウイルスの持続感染の状態になると、リンパ腫、貧血、免疫不全などの造血系の病気になりやすくなります。1~4歳くらいの間になんらかの病気を発症することがほとんどです。

 治療はそれぞれの病気に応じて行われます。リンパ腫の場合は抗癌剤が、骨髄の異常の場合は抗癌剤やステロイドなどが使われます。治療を始めると劇的に状態が改善する症例もいますが、それでも完治はせず再発することが多いため、どこまで検査や治療をするかは難しい判断になります。

 このウイルスは主に唾液を介して移りますので、ウイルス陽性猫は他の猫と隔離することが望ましいです。先住猫がいて新たに屋外で産まれた猫を飼う場合は、隔離して4週間後に検査をしてから一緒にするのが無難だと言えます。ウイルス陽性猫との接触がやむを得ない場合は他の猫にワクチンを接種するという方法もあり、ワクチンにより80~90%は感染を防げると言われています。3種混合ワクチンには入っていませんので、5種混合あるいは白血病単独のワクチンを接種する必要があります。空気感染はしないため、室内での単頭飼育の場合には移ることはありませんが、屋外に出ている猫であれば常に他の猫から感染する危険性があります。

 このウイルスは感染しないようにすることが重要ですが、外で産まれて拾われた猫の場合は防ぎようがないとも言えます。最初から感染していた場合に治せるわけではないのですが、何年か後にいきなり亡くなってしまうというようなことが起こり得るため、外で産まれた猫を飼う場合は検査をしてウイルスの有無を知っておいたほうがいいと思います。外に出る若い猫についてはワクチン接種も有効だと考えられます。また、ウイルス陽性の猫が発症してしまった場合は治療に関して動物病院に御相談ください。

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