膝のお皿の骨(膝蓋骨)が内側または外側に外れる疾患です。遺伝的な要因による場合が多いですが、外傷によって発症する場合もあります。
脱臼の程度はたまに外れる、はまったり外れたりを繰り返す、ずっと外れたまま、など様々です。小型犬では遺伝性に膝蓋骨が内側に外れる犬が多いです。軽度のものも含めればかなりの割合でみられます。
脱臼すると膝の曲げ伸ばしができなくなります。たまに外れる程度の犬では、後ろ足がケンケンした状態になり、自然に元に戻って何事もなかったように歩いたりします。頻繁に外れている場合は持続的に跛行がみられます。初期は痛みが伴わないことが多いです。また、軽度の膝蓋骨脱臼ではあまり症状がみられないこともあります。
治療としては手術をするかしないかという点が問題となります。重度の場合は早期の手術が勧められますが、軽度の場合には手術をするべきかどうかの判断が難しいです。症状が軽ければ手術をしないことが多いですが、膝蓋骨脱臼があると年齢を重ねるにつれ靭帯や関節が傷みやすくなるため、予防的に手術を行う場合もあります。
内科療法としては関節保護のサプリメントや、消炎鎮痛剤の投与が行われます。また手術するしないに関わらず、体重が増えないようにする、激しい運動を避ける、床を滑りにくくする、などの対策は重要です。
膝蓋骨脱臼は触診によってだいたいの判断はできますので、気になる方は動物病院に御相談ください。