最近、「AIM30」というフードについてよく聞かれるのですが、動物病院には全く情報が来ておりませんので詳しいことはわかりません。
一応ネットで調べてみたところ、このフードにはAIMを活性化する「A-30」というアミノ酸が配合されているということのようです。
理論上は腎臓病を予防できる可能性があるということなのでしょうけれども、実際に猫に投与して効果が出るかどうかはわかりませんし、おそらく確かめていないだろうと推測されます。ふつうのペットフードという位置付けであり、効果を証明して手順を踏んで認可される医薬品とは異なります。ですから、効果があるかもしれませんし、全くないかもしれません。
臨床獣医師としては、希望的な話を鵜呑みにして効果が不明なフードを推奨することはできません。ただ、否定しているわけでもありません。価格はそこそこ高いようですが、「効果があればラッキー、効果がなくてもそれはそれでしょうがない」と思える方は試してみてもいいのではないかと思っております。
飼い主さんが期待したくなるのはよくわかりますが、魔法のフードというものではありません。また、療法食ではなく総合栄養食ですから、すでに腎臓病を発症している猫には不適です。腎臓病を治したいという目的でこのフードに賭ける価値はありませんので、すでに腎臓病用療法食を与えている場合は継続していただいたほうがいいでしょう。
なお、腎臓病用療法食はタンパク質が少なく健康に悪いフードです。腎臓病ではない動物には食べさせるべきではありませんし、予防効果もありません。腎臓が悪くもないのに療法食を食べさせるというバカなことをしている方は一定数いらっしゃいますが、予防のために何かしたいのであれば療法食よりもこのフードを選んでいただくといいのではないかという気はしました。
病気の予防とフードの関連については、こちらの記事(グレインフリーのフードについて)の後半にも書いてあります。
慢性腎臓病の治療については、こちらの記事(猫の慢性腎臓病の治療)に書いてあります。