当院では、ワクチンはなるべく痛くないように配慮して打っております。細い針(27G)を使うこと、動物に気付かれないように打つこと、を心掛けております。
そのようにすると、成猫はほぼ痛がりません。成犬と子猫はたまに痛がる場合があります。子犬はそこそこの割合で痛がります。これは試行錯誤しておりますがしょうがない感じです。打った時に気付かずしばらくしてから気付いて急に鳴き出す犬もいますが、これもしょうがない気がしております。
狂犬病ワクチンは法律で決められていますので犬は毎年打たなければいけません。毎年接種の必要性があるのかという議論はありますが、これは飼い主さんや臨床獣医師が決められる問題ではないです。現状においては接種するしかなく、接種していないと咬傷事故が起きた時などに厄介なことになります。当院は獣医師会に入っていないため区からのハガキに名前が記載されておりませんが、登録や済票交付などの手続きもふつうに行うことができます。
混合ワクチンは毎年打つか、3年毎に打つか、抗体検査を行うか、といった方法があります。当院は抗体検査は行わず毎年打つ方針でしたが、最近は飼い主さんの希望がなければ3年毎を勧めております。
3年毎という話はWSAVAという海外組織のガイドラインから来ています。日本においてそれをそのまま取り入れてよいのかという問題があり、動物病院によって方針が異なっています。なお、7種以上のワクチンは効果が長く持続しないとされていますので、7種以上を希望される場合には毎年接種が必要であることに変わりはありません。
ガイドラインには、3年以上あけてワクチンを接種するか、あるいは抗体検査を行うか(もし抗体価が低ければ接種する)、といった方法が書かれており、毎年の抗体検査は推奨されてはいません。抗体検査はわざわざ採血しなければいけませんし、費用もワクチン接種より高いですし、抗体価が免疫力とイコールなわけでもありませんから、個人的には全くお勧めしておりません。毎年の抗体検査を勧めている病院もありますが、本当に必要だと思って勧めているのだろうかとか、意識高い系アピールがしたいだけではないかとか、売上の減少を回避したいだけではないのかとか、考えてしまいます。
ワクチンの効果は個体差がありますので、充分な免疫を最小限のワクチンで得るということに関して完璧を求めるのは難しいです。3年毎でもおそらくほとんどは大丈夫だろうという認識で、あとは飼育環境などを考慮して毎年か3年毎かを選べばよいのではないかと考えております。