皮下輸液とは、皮下(皮膚と筋肉の間)への点滴用液剤の注射です。動物は人と異なり皮膚が伸びるため、皮下に大量の液剤を投与することができます。
血管に点滴をする場合は直接全身に循環するため心臓への負荷を考えてゆっくり滴下しないといけませんが、皮下輸液は吸収されるまでに数時間〜一日かかるためその心配はなく、一日分を一度に注射することができます。皮下に溜まった状態になり、徐々に吸収されて全身に循環します。しかし即効性はありません。
これらは使い分けられ、手術時、緊急時、重度の脱水状態などの場合は入院して血管から点滴を、そこまでではないけど脱水の改善をさせたい場合は皮下輸液を行います。診察中に行っているのは皮下輸液のほうです。同時に薬の投与をすることもあります。
皮下輸液でできるのは主に水分の補給であり、栄養を充分に入れられるわけではありません。注射部位は背中で、しばらくすると重力に従って足やお腹のほうに広がってきます。むくんだ状態になりますが、痛みはなく、徐々に吸収されますので心配ありません。
末期の腎臓病では自宅で飼い主さんに毎日皮下輸液をしてもらう場合もあります。おとなしい猫であれば実施可能なことが多いです。